ぎゅってしてもいいですか。






「てっ、てゆかっ、このアザどーしたの……?」



そっぽを向いて、照れながら苦し紛れにいう月乃に、またほおがゆるみそー。



「え、月乃のせいなんだけどな……??」



いじわるく目をのぞき込む。



「え!うそ!!……もしかして……理科室……?」



今度はためらいもせず俺の目をまっすぐ見据える月乃に、ドキッと心臓がはねた。



……っぶねぇ……。



「え、わ、わた、わたしのせい……あわ、あわわ、わ……」



あわてて次はピンセットが落ちそう。



もしかして完全に自分のせいだと思っちゃった?



「そーだったんだ……ごめんね、ほんと……」



シップを貼りながらしゅんとする月乃。まるで犬の耳がついてるみたいな……



なでなでしてあげたくなる。



「うそうそ。全然へーきだから」



俺も言いすぎたな。ごめん。



その後もずっと自分を攻め続けて。なんか俺まで罪悪感。



「だから、だいじょぶだって。月乃は悪くない」


でも、まだ表情は明るくならない。





……って、シップ丁寧に貼りすぎ。


しかもなんか早く治れーとかって唸ってるし。


多分本人は口に出してる自覚ないんだろーけど。





「そんな慎重にならないでいいよ。……ふは、だめだ、おもしろ」


……無理。我慢出来ない。


面白すぎ。



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