ぎゅってしてもいいですか。
>>36 ダブルデート〜1〜
まだ朝早いというのに、人々が行き交う駅のホーム。
もうすぐ冬ってことを感じさせないような気温。
突き抜けるような青空。
いつもの土曜日。
────ついに……。
────ついに来ちゃったよ……っ。
この日がっ……!
「なに〜?詩星、緊張しちゃってんの〜?」
となりでニヤニヤ笑う南緒。
……もう、ほんと性格悪いなぁ……。
しょーがないじゃない。だって今日は待ちに待った初めてのデートなんだもん。
「まあ分からなくないけど。……ってか、時間大丈夫かな?あの人たち」
不安気に時計へと視線を落とす。
まつげが長く、肌が綺麗な南緒は、今日はまた1段と可愛い。
お洋服にも、気合い入りまくり。
頭には軽めのニット帽、長い髪をおろしてる。
上は赤チェックのシャツで、お腹のあたりで結んでて。
下には重ねて長い無地のシンプルなワンピース。
靴は……なんだろ、よく分かんないけど灰色の、紐とかチャックがついてない靴に、
靴下は白で上の方に2本の黒い線が入ってる。
……たしかこれって、最近現代の女の子の中で流行ってるコーデだよね?
ま、私はそーゆーのに疎いから、南緒が着てるもの、よく分からないけど。
私のも、南緒プロデュース。
白のパーカーを迷彩柄のスカートの中にインしてて、なんか体操着みたい。
これも最近街で見かけるけど、よく分からん。
やばい、私って、女子力ないのかも。