ぎゅってしてもいいですか。
「ごめんっ!遅れた。待った?」
そう言って走ってきたのは西荻くんと永澤くん。
「道に迷っちゃって。ごめんね」
額の汗をぬぐいながら謝る。
「全然大丈夫だよ……っ」
南緒が柄にも無くドギマギ。
けど、その気持ち、分からなくない。
……だって、ふたりとも、ものすごく私服がカッコイイ────。
どっちともTシャツとかパーカーとかジーパンとか普通の服なのに、キマって見えるもん。
好きな人って、なんでも素敵に見えちゃうんだね。
「じゃ、電車乗ろっか」
西荻くんのリードで、電車へ乗り込んだ。