ぎゅってしてもいいですか。
『激しい揺れにご注意ください』
不意に流れるアナウンス。
────え?
けど、前触れもなく床が上下左右に動いて。
ガタタンガタタンガタガタガタッ────
わぁあああっ?!
激しい揺れとともに乗客から悲鳴が上がる。
電車の線路の道、悪っ!
あちこちで「すいませんっ……」の声。
あの揺れだもん、それにきっとギューギューだから、ぶつかっちゃうんだね。
ガタガタガタンッ────!!
足元がおぼつかない。
やばい、つかまってないと危な────。
ガタンッ!!!
「きゃっ」
急に強い揺れが来て、人にぶつかった。
その人はしっかり受け止めてくれて。
お礼をいおうと顔を見る。
……って、永澤くんじゃんっ!
そりゃそーか、近くにいるもん……。
「だいじょぶ?」
永澤くんは身長がそんな高いわけじゃなくて、
目線が同じ位置にあるから、ドキドキも2倍。
「う、うん……ありがと」
今きっと、真っ赤だろうな……。