ぎゅってしてもいいですか。




「えっと……あっ、そうそう!」




私、ナイスアイディアかもっ。



「なに?」



目の中をじっとのぞき込んでくる永澤くん。

ちょっと悲しげ。



うぁー、申し訳ないよぉ……。



でも、これでだいじょぶ!……なはずっ。




「あのね、あんず先輩に伝言頼まれて!」




これはホントなんだよ。蛍人いる?って聞かれたんだから!



なんとかごまかせたかな。




「伝言?」



永澤くん、目を見開いて、ちょっとびっくり顔。





「あのさ、もしかして……俺のこと、知ってたりする……?」




……え??



「ううん……ただ約束忘れないでって言っといてって言われただけ……

……俺のことって?」



永澤くんはそっかぁと言うと、ふぅーっとため息をついた。



「え、なになに、気になる」



「え、いや別に。なんでもない」




……あ、目線そらされた。



なに。気になるよ。疑問。




「……まあ、ありがと。一応だいじょぶだから」




だろーね。さっき、廊下で永澤くんとあんず先輩2人で話してたとこ見たもん。



とは言わないけど。



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