ぎゅってしてもいいですか。
「えっと、その……ぅ、あ……」
視線をさまよわせて、子供みたいに挙動不審になる私なんかより、断然大人だ。
年上ってすごい。
「……ぶ、っく、ふ……ッ。あっははははッ!!
嘘だぁって!本気になんないでいいんだよっ?」
スラッとした細い長身で、お腹を抱えて笑う。
な、え、ちょ、ひど……っ!!
「もう!!本気にしちゃったじゃないですか!」
……大人の余裕って、とんでもないっ。
顔を赤くして反論すると、急に真面目な目つきに変わって。
私の顔に近づいて、お店にいる誰にも聞こえないように。
小さく。
「本気にしちゃった……って……冗談じゃないって言ったら……一緒にいてくれるの?」
そうつぶやいて、にこっと笑った。