ぎゅってしてもいいですか。
「……なによっ。なんでお礼も言わせず勝手にこんなとこまで来たのっ?
知り合いだかなんだか知らないけどっ、お礼は言わなくちゃダメじゃんかッ!」
ハァ……ハァ……と息を切らしながらまくし立てる。
けど、永澤くんはそんなのどこ吹く風って感じで、じっと見つめてきた。
「……なんでお礼いう必要があるの?」
冷たく言い放つ永澤くん。
私は、もうそこで限界。
「はぁっ?!なっ、永澤くんがっ……、触んないで……って、言うから……」
ダメ。ここで泣いちゃ……。
「私、すっごい傷ついて……っ、そしたら、あの人が一緒に居てくれて……」
あぁ、もう。言葉ぐちゃぐちゃ。
永澤くんはうつむいてるのか、表情が読み取れなくて。
「……えっく、ひどいよ……私、もいっかい行ってくる……っ。お礼……言わなきゃっ……。
……っく、ひっ……く、うぅ、永澤くんのバカぁ……っ!」
涙がとまんなくて。
嗚咽まじりの言葉をやっとのことで発していく。
そんな私を見てか、ぎょっとした顔をする。
……もうやだっ。永澤くんがそんな人だなんて……思わなかった……っ。