ぎゅってしてもいいですか。





「……まずは、ごめん」



まっすぐ目を見て、瞳に私を捉える。


突然の言葉に、「……え」とうろたえてしまう。



「……俺、今日のデート、めちゃくちゃ楽しみにしてた」



なんだか気恥ずかしくて、わざとイジけるフリ。

素っ気なく目をそらし、脚をブラブラさせて。



「ホントは……まあ、2人で行きたかったんだけど……、二人っきりじゃさすがに緊張するし」



耳を少し赤く染めながら、ゴンドラの外に目をやる永澤くん。


こんな時でも、肌が白く、まつげは長いし、伏し目がちな目も大きくて、

カッコイイなんて思っちゃうよ。



「ふ、ふぅん」



……うぁ、私ってば、ホント可愛げのない返事だなぁ……。




「だから、ダブルデートならイケるかなって。月乃もいるし……、すっげー楽しみにしてて。

……けど、当日になって、いきなり二人っきりってなった。

俺、二人っきりってなると、どーしたらいーか分かんなくなるから、

ヤバいくらい緊張して、月乃に対する態度もひどくなっちゃって……」



恥ずかしそうにしてるけど、目は真剣。


ホントのことなんだなって、ひしひしと伝わってくる。


朝の時も、ゲートで私1人空元気だったのも、そのせいだったの……?










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