ぎゅってしてもいいですか。





「分かってないかもしれないけど……俺、悔しいくらい月乃にベタ惚れだから。

月乃はそうじゃないかもだけど……毎日毎日、ホント変だなって思うくらい、

触れたくて触れたくて。ぎゅーって抱きしめたくなるし、まぁその……キスだってしたい」




一生懸命、照れながらも大切に大切に言葉を紡いでいく。



……それだけ、私のこと……想っててくれたの?




「……けど、文化祭の時……月乃、不良のヤツらに絡まれて、身体とか触られたから……

すっごい傷ついただろーなって思って。今度は俺が触れたりしたら、嫌われるって思った。

そう考えたら、簡単に触れちゃいけないって思ってさ」




切なそうにふふっと微笑んで。


胸がきゅぅ〜っと締め付けられる。



「俺だって月乃に触れたい。たくさん手繋ぎたい。たくさんぎゅってしたい。

でも、傷つけたくない。嫌われたくない。触れられない……」




ゴンドラは、だんだん高くのぼってく。




「なのにそう思う反面、月乃が目の前にいたらすぐに抱きしめちまいそーで……。

すげー惚れてる月乃に手ぇ伸ばされて、触られたりしたら、絶対真っ赤になるし。

……そんなの、カッコ悪すぎるし。理性保つ自信なかったし。

だからあの時、思わず手を払った。……ごめん。傷ついたよな……勝手だった」






……カッコ悪い?



……そんなわけ、ないじゃん……。



ぜんぶ私を想ってのことだったってことでしょ……?





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