ぎゅってしてもいいですか。







ゴンドラは高く高くのぼって、もう少しで頂上。


冬を感じる冷たい風が、ゴンドラをかすかに揺らす。







「────永澤くんだからいいの」




そっとつぶやいて、永澤くんをじっと見つめた。



静かに立ち上がると、あっけに取られる永澤くんをよそに、隣へストンと座る。




「永澤くんだから……たくさん触れたい。触れられたい。

いっぱいいっぱい……ぎゅーってしてほしい」




こんな恥ずかしいセリフも、今日だけは言うよ。

永澤くんがホントの想い、伝えてくれたから。




なんだか、すごくくすぐったくて幸せで、こてんと寄りかかった。



ゴンドラは、一番高い頂上にたどり着いて。




「怒ってごめんね?」




申し訳なく、しゅんとしながら謝る。


隣に永澤くんがいることの嬉しさを感じながら。





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