ぎゅってしてもいいですか。
>>11 約束
【蛍人side】
────あのね、あんず先輩に伝言頼まれて!────
君から出たのは、そんな言葉だった。
なんか、軽くショック。
俺に用事があるって……何か知らないけどちょっと嬉しかった。
だから少し期待したのに。
……あんず先輩……かぁ。
それに、伝言って……。
それはホントだとしても、逃げられたのはフツーに辛い。
だって、明らかに俺見た瞬間逃げたもん。
────月乃 詩星。
キレイな名前。
暗い夜空に浮かぶ月を、ぼぅっとひとりで眺める。
あの子、嫌いじゃない。
フツーに面白いし、一緒にいて楽しい。
不思議ちゃんで、行動が変な女友達。
俺はそー思ってるんだけど……あっちは違うのかな。
目線そらされるし、逃げられるし……。
俺、やっぱ嫌われてんじゃね?
……てか、何考えてんだろ。
最近、気づくとあの子のことばっかだ。
……明日のこと考えよ。
あんず先輩との〝約束〟に思考を移す。
〝約束〟……。
窓の外を見つめ、全てのことがうまくいかないんじゃないか、なんてことを考える。
とりあえず、流れに身を任せよう。
そう心に決めた。