ぎゅってしてもいいですか。





ぼけっと見つめる私に気づいたらしく、永澤くんと目が合う。





「な、に……?」


照れているようで、視線をさまよわせる。




「んーん、何でもないっ」


なんか、地味に小っ恥ずかしいことしちゃった感。


自転車ハンドルをぎゅっと握った。




「俺今回の期末試験、色々ヤバいかも」




そっぽを向いて、でも、気まずい空気を誤魔化そうとしているのか、ぼそっとつぶやく。


期末試験がヤバい。学生あるあるだね。


あー、私も全然勉強してない。



「だよねー。私、今回大変かもだよ」



……主に永澤くんのせいで。



ここんとこ、ずっと頭の中は永澤くんでいっぱい。

そのせいで、勉強なんて1ミリも頭に入ってこないんだもん……。






< 282 / 421 >

この作品をシェア

pagetop