ぎゅってしてもいいですか。
ぼけっと見つめる私に気づいたらしく、永澤くんと目が合う。
「な、に……?」
照れているようで、視線をさまよわせる。
「んーん、何でもないっ」
なんか、地味に小っ恥ずかしいことしちゃった感。
自転車ハンドルをぎゅっと握った。
「俺今回の期末試験、色々ヤバいかも」
そっぽを向いて、でも、気まずい空気を誤魔化そうとしているのか、ぼそっとつぶやく。
期末試験がヤバい。学生あるあるだね。
あー、私も全然勉強してない。
「だよねー。私、今回大変かもだよ」
……主に永澤くんのせいで。
ここんとこ、ずっと頭の中は永澤くんでいっぱい。
そのせいで、勉強なんて1ミリも頭に入ってこないんだもん……。