ぎゅってしてもいいですか。






なんとなく悔しかったから、南緒の好きな人・西荻 太貴くんに視線を移し、

南緒にも目をやって、同じようににやけた。



「ばーか!」



あっ、南緒照れた。


かわいー。















────そんなこんなであっちゅー間に1日は過ぎ去り。


永澤くんと話せぬまま1日が終わっちゃった。






……キーンコーンカーンコーン……





ああ……部活だ……。



永澤くんと話さないとやる気でない……。



もーやだよぉー……。







「つーきたんッ☆」






ぅあ……。


この声はあんず先輩だ。


「なんですかぁ~……」



気だるげな声を出す。



「なぁにー、なんでそんな暗いのー??」





いや、逆になんであんず先輩いつもそんな明るいのか聞きたいわ……。





「いや、まぁ……。好きな人と話せなかったもんで……。やる気でないんです」


「ほぉ~……。いーなぁ、若人は。まだ未来があって。うんうん。せいぜい後悔すんなよ」






切なげに作り笑顔で肩を叩かれた。






「え、若人は、って、先輩もなんじゃ……」



その表情がちょっと気になったが、ツッコミで返す。



「バッハハーイ!」




……あぁ、行っちゃった。


なんだ、あのひと。




いつもより……変だよ。









< 30 / 421 >

この作品をシェア

pagetop