ぎゅってしてもいいですか。
なんとなく悔しかったから、南緒の好きな人・西荻 太貴くんに視線を移し、
南緒にも目をやって、同じようににやけた。
「ばーか!」
あっ、南緒照れた。
かわいー。
────そんなこんなであっちゅー間に1日は過ぎ去り。
永澤くんと話せぬまま1日が終わっちゃった。
……キーンコーンカーンコーン……
ああ……部活だ……。
永澤くんと話さないとやる気でない……。
もーやだよぉー……。
「つーきたんッ☆」
ぅあ……。
この声はあんず先輩だ。
「なんですかぁ~……」
気だるげな声を出す。
「なぁにー、なんでそんな暗いのー??」
いや、逆になんであんず先輩いつもそんな明るいのか聞きたいわ……。
「いや、まぁ……。好きな人と話せなかったもんで……。やる気でないんです」
「ほぉ~……。いーなぁ、若人は。まだ未来があって。うんうん。せいぜい後悔すんなよ」
切なげに作り笑顔で肩を叩かれた。
「え、若人は、って、先輩もなんじゃ……」
その表情がちょっと気になったが、ツッコミで返す。
「バッハハーイ!」
……あぁ、行っちゃった。
なんだ、あのひと。
いつもより……変だよ。