ぎゅってしてもいいですか。
「ふわ~、くったくたぁー!」
部活終わり、自転車で南緒と帰っていた。
南緒は陸上部で、運動神経がいいから、当然バリバリ活躍してる。
私、陸上部系苦手だからなぁ……。
南緒、尊敬。
「今日さぁ、大会があるからって、いつもの倍練習されられてさぁー。もーホンット辛かったー」
陸上部の顧問は、学校で一番恐れられてる生活指導の先生らしく。
やっぱしめっちゃハードみたい。
陸上部入んなくてよかった……。
練習のこと聞く度にそう思うよ。
「あっ、そーいえばね。今日、なんかあんず先輩、元気なかったんだよ」
「あー、あの約束忘れないでの先輩?」
「……まあ、そうなんだけど」
南緒には金曜日電話で話した。違う部活だけど知ってる。
「なんてゆーか……切なげで……」
「ふぅん……。なんかあったんかな」
「だよね……。なんだろ」
しばらく2人で考え込む。
「……あ!!」
南緒から突然発せられた声に身体がビクッと反応する。
びっくりしたぁ……。
「うち、知ってるかも……」
目を大きく見開き、口に手を当てながら、そうつぶやいた。