ぎゅってしてもいいですか。
「んー……これ、なかなかいいかも」
再び鏡の前に立つと、感嘆の声をもらす。
鏡にうつっているのは、ド真ん中に『人類』と書かれたパーカーと、
ダボダボのダンスする時に使うようなちょいひざ下ズボン。
もちろん、目には牛乳ビンの底みたいな分厚いマジメガネ。
うん、マジメガネってゆーのは、まぁその、私の造語。
真面目+メガネを合わせて……。
って、そんなことは置いといていいのっ!
何この完璧な着こなし。
ダサすぎて最高傑作。
これなら遥輝先輩もドン引いてくれるはず。
上手く行けば、会った瞬間に、
『ごめん、やっぱオレ帰る。そんなダサいと思ってなかった。
幻滅。隣歩いても恥ずかしいだけだから無理だわ』
って言われて、帰ってくれるかも知れない……!