ぎゅってしてもいいですか。
階段で下へ降りると、お母さんが目を真ん丸くして。
「きゃぁあああ────っ!!!!ドロボー!!ダサい!気持ち悪い!家から出てってぇ〜!!」
……と、フライパンをぶんぶん振り回された。
叩かれそうで危なかったけど、まぁ、効果は抜群ということで。
だって、娘だって気づかないくらいに色々ヤバかったわけじゃない?
そう考えると、満足満足。
「って、ちょ、詩星じゃない!なによそのダサいカッコ!!
そんなんで外出たら、自分の娘が……って恥ずかしくて、お母さん失神しちゃう!!」
あとから気づいたお母さんは、そうまくし立てると、舐めるようにじーっと見て。
結構グサッと来たけど、お母さんお墨付きで『ダサい』って言葉もらったから、それもいいとする。
「いってきまーす」
悲鳴を上げるお母さんを無視し、待ち合わせの公園へ。