ぎゅってしてもいいですか。
「ごめんごめん、遅れた!」
慌てながらパタパタと走ってきたのは、私と正反対のオシャレな遥輝先輩だった。
上は黒のTシャツに灰色のガーディアンを羽織り、下は白のパンツ。
頭には真ん中がくぼんだ黄土色のカッコイイ帽子。
「ちょっと何着ていこうか迷っちゃっ……えぇ?!」
そんでもって、私の服装を見るやいなや、びっくり仰天。
てゆか、よく私って分かりましたね。こんなダサいカッコなのに。
「全然大丈夫ですよ!……どうしたんですか?」
いかにもこのカッコをおかしいと感じていない素振りを見せる。
「え、いや、その……うん、まぁ、ね」
あやふやな言葉を並べ、視線をあちこちにさ迷わせながらうろたえる遥輝先輩。