ぎゅってしてもいいですか。
「完成〜!きゃー、うん、似合ってますよぉ」
私を褒めてるのか、それとも自分のコーディネートに酔いしれているのか
よく分からない表情の店員さん。
というかまぁ、そんなことはいいんです。
「うん……ほんと似合ってる」
遥輝先輩にまで、まじまじと見つめられ。
全体的に白いゴワゴワした羊毛のワンピースなんだけど、ポンチョがあり、
ところどころにあるボンボンが可愛さを引き立てている。
足にはブーツ。これもモコモコの。
あったかくていいんだけどさ、なんてゆーか……女の子って感じがしすぎて、
こんなの私が着ていいのかなって思っちゃう。
そんなモジモジした私を見てか、遥輝先輩はふっと微笑むと、「行こう」と手を出した。
「え、あの、脱ぎます……っ」
「だめー。残念。お金払っちゃったもん」
そ、そそそんな……!!!
ショックを受ける私に構わず、楽しそうに笑って。
……あぁ、この人、絶対ドSだ。
分かっててお金を……。策士め……!
てゆか、今日お金500円しか持ってきてないよ。
まぁそれも、遥輝先輩に早く帰りたいと思わせるため。
名付けて『お金は全部相手任せ★ケチ女作戦』!
……なーんて考えたのに。
これじゃなんか申し訳ない……。よくよく考えたら先輩だよ?
しかもダサいカッコ作戦失敗しての可愛い服だよ?
返すにも返せないし……。
だって、この服、絶対500円じゃ済まないに決まってる……!!