ぎゅってしてもいいですか。







「……ふ」




不意に隣で笑い声が聞こえた。

見ると、クスクスおかしそうに笑う遥輝先輩がいて。






────あ、そーいえば。






……遥輝先輩いるんだったー!



すっかり忘れてたよ。存在自体。……なんて言ったら怒られるかな?





「そんなに面白かったの?映画」



意地悪な笑み。

面白かったなんて、なんか悔しい。



……でも、まぁ、見栄張ってもしょーがないよね。



小さくコクンと頷いた。



「だろーね。だって……映画始まる前から今まで……ずっとオレの手握りしめてるんだもん」



その言葉に、目をまん丸くする私。



恐る恐る手を見ると、しっかりと遥輝先輩と手が繋がれていて。








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