ぎゅってしてもいいですか。
《詩星side》
────なんで?
なんで永澤くんがここに────?
どうしよう、傷つけちゃった……。
私、取り返しのつかないこと、しちゃったんだ……。
デートなんて、最初からはっきり断っておけば良かったんだよ。
ホント、同情とかして、デートだけでもしてあげようって思った自分、バカだ────。
「詩星ちゃん……っ?!」
慌てふためく先輩を置いて、なりふり構わず走り出す。
先輩、ごめんなさい。私には永澤くんしかいないんです。
早く誤解を解かなきゃ。
今すぐにでも、追いつかなくても、誤解を解かなきゃ。
「待ってよっ……!!!!!」
声にならない声を出しながら、騒がしいショッピングモールであとを追いかける。