ぎゅってしてもいいですか。
永澤くん……永澤くん。
どこ────?
人の多さと雑音で永澤くんが分からない
走っても走っても見つからない。
このままって、そんなの……やだよ。
永澤くんが向かったと思われる出口へ走る。
「……っ、いた……!!」
私の目線の先には、足元がおぼつかない永澤くんがいた。
何か考え事をしているのか、歩調がひどくゆっくりで。
────これも、私のせいかな……?
心臓がズキンと痛んだ。
「……永澤くんっ!!!」
名前を呼んで、驚く永澤くんのもとへ走りよる。
「……つ、きの」
追いかけてくるなんて思ってなかったんだろーなってほど、びっくりした顔。
「あれ……デートだけど……デートじゃないっ」
自分でも意味が分からない。けどしょーがない。
一刻でも早く、誤解だって伝えたいから。