ぎゅってしてもいいですか。
こんなの勝手で……遥輝先輩といて嫌だなんて、わがまますぎて自分でも飽きれるくらいだけど……。
離れるなんて、距離を置くなんて……やだ。
そんなの、別れるみたいじゃない────────。
「……ごめん。俺が悪い。心……狭くて。もっと大人になってから……ごめん」
地面を見つめて、うつむく永澤くん。
もうそれは、嫌だと言えない雰囲気だった。
「……ん、分かった……」
一言だけ、返事をすると、永澤くんは行ってしまって。
「うわぁあああぁん……っ」
姿が見えなくなった途端、虚しさがこみ上げ、涙が溢れ止まらなくなる。
────あとに残ったのは、激しい後悔と情けなさだけだった。