ぎゅってしてもいいですか。
>>50 嫌われたくない
《蛍人side》
────たん、たん、たん。
ためらうような足音が、屋上階段に響き渡る。
そして、とうとう俺の真ん前に来た。
遠慮がちに下から覗くように見つめてくる。
これが世間でいう上目遣い?
……やば。
「あの……」
「ねぇ、それ……わざと?」
月乃の言葉を遮るように淡々とした口調で言う。
────俺、余裕ないんだよ。
月乃がそーゆー顔するから。
俺の言葉一つでいろんな表情見せたりするから。
……なのに、悩ましいほどの可愛い仕草や行動で、俺を惹き付けて離さないから。
そして、それに気づいてないから。
────好きなんだよ、すごく。
知りたいし、見たい。月乃の全部。
誰にも知って欲しくないし、見て欲しくない。
なのに、俺の自慢だからみんなに見て欲しかったりする。
ちょっと矛盾してるんだ。
とか言ってもやっぱ誰にも渡したくない。
だから心が狭くなる。
意地悪もしたくなる。
ちょっとのことで妬いたりする。
嫌われたらやだからって我慢してたけど、やっぱ無理。