ぎゅってしてもいいですか。
「初めての……好きな人とのキス、が……こんなのだなんて、思わなかっ、た……っ」
しゃくりあげないよう声を抑え、目から溢れてくる涙を服でこする。
────すごく、傷つけた……。
俺、取り返しのつかないこと、した……。
傷つけないって言ったのに。
無理矢理しないって言ったのに。
結局台無しにしてるのは自分自身────。
月乃はすぐさま立ち上がると、ダダダッと階段を降りていく。
そんな月乃に、俺は手を伸ばすことしか出来なかった。
何してんだ、俺────。