ぎゅってしてもいいですか。
《詩星side》
────どうしよう。
私、永澤くんのこと傷つけた……。
下へと階段や踊り場を駆け下りながら、屋上階段の方向を見る。
さっきの顔が頭に焼き付いて離れない。
「……っ」
手がガタガタと震え出す。
嫌われたかもしれないっていう不安?
ううん、違う。
永澤くんの、あの強引さが怖かったからだ────。
自分のことばっかりで、永澤くんのことは傷つける。
なんて勝手なんだろ────。