ぎゅってしてもいいですか。
「んもーぅ、バカっ。詩星に嫌われたくなかったからに決まってんじゃんっ」
しびれを切らしたように叫んだ。
嫌われたくなかった────?
頭の中でぐるぐると南緒の言葉がまわっていく。
「とにかく!もう一回……ちゃんと話しなっ」
鬼気迫る勢い。
「やだ。これ以上永澤くんに嫌わ……」
「ほら。同じ」
私の言葉を遮って、真剣な瞳で。
「嫌われたくないんでしょ?あんたも。永澤も同じ気持ちだと思うよ」
「でも、有り得ない。絶対そーだとは限らないもん」
「あーもー!いいからっ。話し合えば分かるのっ!」
ダン!とテーブルを叩いた。
グラスがガタガタ揺れる。
「……は、はい」
小さく返事を返したのだった。