ぎゅってしてもいいですか。
>>51 男子トイレで
《蛍人side》
冬の朝。
冷えきった空気を切り裂いて、生徒達の声がこだまする。
「おはよー!」
「はよ」
「永澤ぁー、おっす!」
「おう」
吹っ掛けられる挨拶を軽く流して、教室へと向かう。
────月乃に会いたいような、会いたくないような。
そんな複雑な気持ち。
「なぁ、どーしたの?お前、最近元気なくね?」
突然、坊主頭の野球部の友達が話しかけてくる。
え、いつからそこに……。全然気づかなかった。
あ、さっき挨拶してくれた時からか。
「……そう?」
「うん。なんかズーンって沈んでる」
……心当たりないこともない。
けど、俺的には結構明るくしてたつもりなんだけどなぁ……。
友達ってすげぇ。