ぎゅってしてもいいですか。








「はい、次イベント係がいいひとー」


「はーい!」

「はい」






南緒と私、ふたり一緒に手を挙げる。


先生が教卓に立って、もうすぐ行われる秋の一大イベント、文化祭についての係決め。

当然、私はエンジェルちゃんに誘われた通りに、イベント係へ挙手。


「はい、決まりねー!」




じゃあ次、とどんどん進行していく係決め。


永澤くんは……。



「はーい、俺、準備係でいい~」



どうやらめんどくさいらしく、さっさと準備係に。



「なら俺もー!」

「わたしもっ!」


おお、どんどん準備係の枠が埋まってくよ。


……やっぱり、すごいなぁ……。




てか、なんでまだ永澤くんなんか気にしてるんだろ。


……ダメだな、私。




「……ねぇ、詩星。ホントに……イベント係でいいの?」


こそっと南緒が耳打ちする。


「……いーんだよ。別に」


フッと自嘲気味に笑う。


「永澤くん……準備係だよ?」


……ねぇ、お願い。今は永澤くんの話、しないで。


辛くなるだけだから。


「私はイベントがいいの」


「……そっか」


悲しげにうつむく詩星を見て、なんだか私も泣きそうになった。



ごめんね、南緒。ありがとう。


でもいいんだよ、これで。



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