ぎゅってしてもいいですか。
我慢ならず、駆け出した。
「ちょ……永澤っ?」
真島が俺に声をかけた気がしたが、気にせず走る。
月乃に話しかけてんな……。
こんなことになったのも、元はと言えば遥輝先輩のせいだっつーのに。
でも、曲がりなりにも先輩だから、強く言えなくて────。
俺が情けないだけか。
でもそんなことどーでもいい。
月乃と気安く話してんじゃねぇ……。
だが、次の瞬間足元がぐらりと歪んだ。
え────。
世界が逆転する。全て逆さま。ぐらぐらと酔うほどのめまいがして。
あちこちでヒステリックな悲鳴が響く。
「人が倒れたぞー!」
「誰かぁー!先生っ」
みんなが俺を指さす。
俺、倒れてるの────?
そして、そこで意識を手放した。