ぎゅってしてもいいですか。
「でねー!あそこのお店、すっごい可愛かったんだよ!」
「えー!いーなぁ、行きたい!!」
放課後の部活帰り。今日も南緒と。
「ねね、このあと遊び行かない?」
「もー、悪だなぁ。行かないよ(笑)」
何いってんの、と笑うと、えー!!と驚かれた。
「だってまだ5時だよ?せっかく早く終わったのにさ……もったいなーい」
「もう5時、でしょ!日の出が短くなったから帰りが早いの!全く……」
呆れ気味にため息をつく。
「ふは、南緒は真面目だなぁ……分かったよ。……てか、なんかだいじょぶそーだね」
「……うん……ありがと」
心配してくれたんだ。元気がないから。
だからきっと、気分転換にでもって遊びに誘ったんだろう。
……優しいなぁ、南緒は。
でもごめんね。今はぐるぐる悩みすぎて、明るく振舞おうなんて気持ちにはならないんだ。
付き合ってるってことに、これだけショック受けるなんて……思ってなかった。
永澤くんならモテるってことなんて、分かりきったことなのにね。
……だから、今だけ許して。
「……あとでなんか奢るから……」
ぼそっとつぶやく。
「ホントっ?!」
……おいおい。……嬉しそうに目を輝かせやがって、このやろ。