ぎゅってしてもいいですか。
そう思ったら、保健室を出られなかった。
そんな私を見てか、遥輝先輩がふぅっとため息をつくと、
「やっぱオレじゃ頼りないみたいだからさ、見ててやって」と整った顔を緩めた。
「……っ、はい……」
私が小さく返事をし、じゃーねー、と保健室を出ていく遥輝先輩。
誰もいなくなった保健室で、永澤くんの元へと歩いた。
近くに来ると、椅子を持ってきて座る。
今は穏やかな表情で、ぐっすり眠っているようだった。
さっきの苦しそうな声は、もしかしたら悪い夢を見てたからなのかも。