ぎゅってしてもいいですか。
「……で、どーすんのさ。永澤のこと」
注文したケーキを口に運びながら質問する南緒。
……クリーム付いてるよ。
「……そんなことよりさ、南緒。イベント係ってなにするんだろーね。
私初めてで分かんないや。ちょっと楽しみで」
わざと質問を挟まれないよう、立て続けに話し続ける。
だって、心配かけてらんないもん。
「誰が一緒なんだろ。エンジェルちゃんやるって言ってたよね。だとしたら他には……」
うーんと考え込んでみる。
「……詩星」
「もしかして同じ部活の先輩だったりして!だったら笑える~っ!」
あはっと軽く笑って。
「詩星」
「あ!あんず先輩かな?……やだぁ、超気まずいじゃーん!」
精一杯の作り笑い。
「詩星っ!!」
突然の大声に、私はおろか、店内の客や店員のまで視線が南緒に集まった。
静まり返る店内。
だがしばらくすると、またがやがやと自分達の会話に戻っていった。
「な、お……?」
恐る恐る名前を呼ぶ。
うつむいたまま、こっちを向いてくれない。
「な、南緒、ごめん、なに?どうしたの?」
そんなことをいいながら、さっきの自分の態度に深く反省する。
「ねぇ、さっきはホントごめん。……お願いだから……なんか言っ「……ばか」
たった一言、そう発せられた言葉に、理解出来ず身体が硬直する。
「……え?」
「詩星の……、ばか……」
思わず呆気に取られてしまった。