ぎゅってしてもいいですか。
「あーもー。どーしよ。ほんと。かっこよすぎるよ」
休み時間の2―Bの教室、机の上でぼやく私に、南緒は呆れ顔だった。
「あんなやつがぁ?まあ、かっこいいっちゃかっこいいけどさぁ……」
「でっしょー!ほんともうかっこよすぎ」
「えー?でもチビじゃん。詩星と同じくらいだよね。あはははっ」
ひどっ!人の好きな人を!全く、これだから美人は。
ジト目で睨むと、南緒はやばいと思ったのか、うそうそ、結構でかい、と訂正した。
……でかくもないもん。
私だって160cmあるし。女子では大きい方だけど、永澤くんで男子の中ではまた違うもん。
「フツーだよ、フツー!」
ムッとして言うと、またもや呆れ顔でため息をついた。
「フィルターだよ、それ。フィルターかかってんでしょ、絶対。恋は盲目って言うもんねぇ」
……小馬鹿にしたな。
いいもん。永澤くんは私の中で一番だから。
あとで良さに気がついたって知らないんだからね。