ぎゅってしてもいいですか。






「……ん?」



あ……止まってくれた。


……ちゃんと聞いてくれるんだ……とか、そーゆーひとつひとつにきゅんとする。





ドキン───ドキン───ドキン───




「あ、あの違くて……そーじゃなくて……っ」

「なに?」





思い切って、カーテンから出た。





「こ、こんなカッコ……見せられないって……思った、から……

嫌いって思ったんじゃ……ない、から……」




メイド服の恥ずかしさでスカートをぎゅっと握りしめる。

ゆっくり顔を上げると、そこには真っ赤な永澤くんがいて。




「……ッ?!」


「……え?」



意外な反応に、思わず立ち尽くす。



え、もっと、そっか……とか、そーゆー反応だと思ってた……。




「ちょ……っ。ごめん……、今だけこっち見ないで」



口元を隠しながら、視線をズラしてる。





照れてるの……?





「て、てゆかっ、ごめん、俺が悪かった。悪かったから、とりあえずこれ着てっ」



そー言って永澤くんは、自分のジャージを貸してくれた。




ふわっとマスカットの香りが包み込む。

……永澤くんのにおい……。



ホントは体操着、持ってるんだけどな。


でも……こっちの方が何倍も嬉しい。




心臓の脈が、トクトクと早くなった気がした。



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