ぎゅってしてもいいですか。
「えっ、ちょっ……!!!!」
私の腰を引き寄せ、あごをクイッと持ち上げる。
「……ね?」
……わ、至近距離でのその声はダメだよ……っ。
「や、やぁ……っ」
永澤くんの身体を押して抵抗するも、かなうはずなくて。
「そんな弱い力で……大丈夫だと思ってんの?」
……っ!キス……される……っ!
────だが、私の思いとは裏腹に、おでこへゴチンと強い衝撃が走った。
「……キス、されると思った?」
力なく、こくんと小さく頷く。
「しねーよ」
……あれ?ちょっと顔が赤いのは気のせい……?
けど、自分の顔を隠すように私の頭をくしゃっとなでる永澤くんは、
気のせいなんか思えなくて。
……ねぇ、期待しても、いいの……?
……ううん、何言ってんだろ、私。
馬鹿みたい。
あんず先輩がいるのに……。
最低だ……────。