ぎゅってしてもいいですか。
……もう、いいじゃねーか。
俺は……。
「あんず先輩か……」
そんな一言を誤魔化し、次の言葉を紡ぐ。
「そんなんで出るの?そのカッコで?」
じっと見つめて。
「も、もしかして、へ、へへ変っ?!」
メイド服を着ながら、今にも泣きそうな月乃に、
「んなこと言ってねー。はぁ……。あのさぁ……月乃」と優しく話す。
……とにかく、こいつに分からせてやらなきゃ。
変な使命感に駆られる。
「月乃……もっと男ってゆーの……警戒した方がいいと思うよ?」
いい加減気づけ。
俺でさえも月乃の色気に相当やばいんだから。
すると、ムカッときたのか顔を赤くして、俺をじっと睨んだ。
「け、警戒……?しっ、してるよ!」
「絶対してない。……ばーか。俺になんかされたいの?」
……あ、真っ青になった。
赤くなったり青くなったり忙しいな。
「……永澤くんは……しないでしょ……?」
不安気に俺の顔を、青ざめながら涙目の上目遣いで見つめて。
……ほぉーら。言わんこっちゃない。
「どーかな?わかんないよ?」
そう言って不敵に笑って見せた。