ぎゅってしてもいいですか。
ちゃんと分からせてやる。
世の男どもが、どんな風に女を見ているのか。
所詮、男はケモノ。
こーゆー無垢な女の子が一番腹立つ。
分かっていそうで、わかっていない。
「えっ、ちょっ……!!!!」
思ったよりもずっと細いくびれを引き寄せ、月乃のあごを軽く持つ。
「……ね?」
耳元でそっとつぶやき、痺れさせて。
────こんな方法、いつの間に覚えてしまったんだか。
俺だって、女の子の経験くらい、それなりにある。
正直、付き合ったヤツら全員どーでも良かった。
相手の子に任せて、して欲しいことをこなすだけ。
けど、あんず先輩だけは……。
────あの人だけには、できなかった。
大切だから、なんだろうか。
それとも、大切だから手が出せなかったからなんだろうか。
「や、やぁっ……」
「そんな弱い力で……大丈夫だと思ってんの?」
……小さな力で拒んでさ……余計強くしたくなるって、分かんない?
……それとも、煽ってる?
────いや、うそ。冗談。
女の子は非力だ。
強引にすれば、それなりにうまくいく。
それは、俺の身体に染み込んでいた知識。
段々と顔を近づけ、逃れられない月乃に、無理矢理唇を合わせようとする。
唇を合わせることなんて、大人の世界では普通の常識。
1度合わせてしまえば、もうこっちのもん。
俺はそう思ってる。
そんな大人の世界を覚えさせようとしてる俺は、最低なんだろうか。
……いや、無防備に振る舞うことの怖さを知らない月乃が悪い。
ほら、どうした?
早く俺を突き飛ばしてみてよ。
このままじゃ、こんな俺とキスだよ?
……────早く。