ぎゅってしてもいいですか。
>>20 この気持ちの名前は
「私だったら、好きでもない人にあんなことしない。絶対に裏切ることなんてしない。
付き合ってる人いるくせに……最低だよ」
……付き合ってる人……?
その言葉に引っかかる。
もしかして、あんず先輩────?
あの人か…………
でもあの人は────。
そこで考えるのを終了させた。
「好きな人ね、すごくかっこいいんだ……。みんなにモテモテで、クラスの中心にいるような人で」
目の中を優しく鈴のように揺らす。
「大人っぽくて、優しくて……。けど、笑った顔があどけなくて可愛いくて……まるで子供みたいなの」
ふふっと柔らかく頬をピンクに染める。
これ以上ないくらい嬉しそうで、幸せそうで。
月乃は相手をすごく大切に想っているんだなぁと思う。
……そして、これがコイツの、本当に恋をしている姿なのだと、強制的に気付かされた。
「……そっか」
「あと、最近ちょっとSっ気あるんだって気づいたの。意地悪されたことがあって……。
でも、そんなとこも可愛いなぁとかおもったりして……」
顔をほころばせ、へへっと笑う。
「……へぇ……」
月乃が恋をすると、こんな表情するんだ。
相手はこんなにも思われてるんだ。
……そう思うと、キリリと胸が痛む。