ぎゅってしてもいいですか。
「それにしてもさぁ」
明日のイベントへのお客の呼び込みと、売店の声で騒がしい廊下を歩きながら、南緒がたずねる。
「ん?」
「詩星のそのカッコ、過激すぎ」
怪訝そうな、哀れんでいるような、そんな顔で見てきて。
んぁー……。
あんま気にしてること言わないでください……。
「いくらなんでも……小悪魔のカッコって(笑)」
まぁね、そりゃそーでしょう。
なんたって胸元全開なんですから。
しかも黒のピチピチワンピース。
ついでにミニスカ……。
おまけに足はあみタイツ。
……過激すぎにも程があるっ。
「文化祭にそぐわなすぎて、みんなの視線がやばいよ?」
ぐっ。すみませんね!!
だってだってだって……!!
男子が勝手に決めちゃったんだもんっ!
うちのクラスの女子、なぜかみんなこれを着たがらなくて……。
結局余り物になっちゃったんだよぉっ。
まあ、着たがらない理由は分からなくなかったけどっ!
いくらなんでも私だってこれは……。
まわりの目が痛すぎて、恥ずかしすぎて、悲しすぎて、一刻も早くここから逃げたい……。