【短編】ご主人様は生徒会長
「平沢ひよりさんと、堀田実花さん。」
「はい…って、なんで名前知ってるんですか?」
私と実花ちゃんは首を傾げる。
「全校生徒の顔は全て頭の中に入れるよう言われてるの。男子はなかなかなんだけど…女子のほうはバッチリよ」
す、すごい…。
「堀田実花さんは、成績優秀と聞いてるけど、もしよかったら会計補佐をやってほしいの」
「会計補佐…ですか?」
実花ちゃんはなんですかそれ、と言うように首をかしげる。
「会計の子のサポートをしてあげてほしいの。 仕事はできるんだけど、ちょっと問題アリだから」
「はい、やってみたいです」
実花ちゃんは目をキラキラさせて言った。
そういえば、実花ちゃんて、中学のときずーっと生徒会役員やってたなあ。
もしかしたらはじめから生徒会に入りたかったのかな?
もしかして、私の部活選びに付き合ってくれてたとか…。
「実花ちゃん!」
そう思って嬉しくなって実花ちゃんに抱きつく。
「もー、ひよりちゃん。 つっくかれると入部希望の紙、書けないよー」
「ふふふ、仲良いのね」
立花さんはクスクスと笑っている。
「それで、平沢さんなんだけど」
私は生徒会役員なんてやったことないし、成績も中の中。
ここに入れたのも運って感じだし。
私に出来る仕事なんてあるのかな。
「こっちに来て」
そう言って案内されたのは、さっきの社長椅子の横にある真っ赤なドア。
そこをノックすると、中から声が聞こえた。
「大地、今大丈夫?」
「ああ、大丈夫です」
立花さんに手まねきされて、中に入る。
立花さん、生徒会長のこと、下の名前で呼んでるんだ。
しかも呼び捨て…。
もしかして、二人は付き合ってる、とか!?
中に入ると、また、社長椅子がある。
さっきのソファーより豪華そうなソファーも、ベットもテレビもある。
なんか、お金持ちの人のお部屋みたい。