【短編】ご主人様は生徒会長
「はい、今行きます」


ドアを開けると、目の前に満さんがいた。


「ひよりちゃん。良かった。有野くんの前じゃちょっと話にくくって」


「なんでしょうか？」


「なるべく、早めに帰ってきてね。お母さん、心配するから」


満さんは、優しい笑顔で言う。

私はその言葉に胸のモヤモヤが大きくなっていってるのが分かった。
そのモヤモヤが喉にまできて、勝手に言葉が出た。


「心配なんか…してないと思います」


言いたくないはずなのに、言ってしまった。


「私は邪魔者ですから」


そう言うと私はそれ以上言わないように口を手で塞いだ。


「ご、ごめんなさい！」


私が頭を下げると同時くらいに、後ろからゴマ太が出てきた。

“ゴマ太って男にはキビしいっていうか…”
市原さんの言葉を思い出した。


「満さん、あぶな…」


満さんに向かっていくゴマ太を止めようとしたけど、遅かった。
ゴマ太が満さんに飛びかかった。満さんがその勢いで後ろに倒れる。


じゃれるゴマ太。



…あれ？


「あはは、くすぐったいよ。ゴマ太」


満さんは首元を舐められて、足をジタバタしている。
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表紙・目次

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