焦れ甘な恋が始まりました
「あ、あの、社長、すみません……えぇと、彼は陽と言いまして、私の――――」
「……若いと思ってもらえたのなら、光栄と言っておいた方がいいかな?」
「っ、」
「改めて……初めまして、陽くん。杏さんが勤めている会社の、代表取締役をさせて頂いている下條です。彼女には……いつも“イロイロ”と、お世話になってます」
「!」 「?」
だけど、陽の高校生爆発な態度に冷や汗をかいていれば。
突然、声で割って入ってきた社長は、とても丁寧な自己紹介を、我が弟にしてくれた。
でも今……なんだか、言い方に少し刺(とげ)があるように聞こえたのは私の気のせい……?
杏さん、なんて……
そんなの初めて呼ばれたし、いつもは日下部さんなのに。
しかも、何故か “ イロイロ ” の部分を強調していた気がするんだけど。
イ、イロイロって……
まさか弟の前で、そんな大人の話をしませんよね、社長……?