焦れ甘な恋が始まりました
 


「……どういう意味ですか?」

「そのままの意味だよ」



けれど社長も社長で、顔はいつものように穏やかな表情を浮かべているというのに、目は少しも笑ってなくて。


腕を組んだまま、真っ直ぐに陽へと視線を向けていて、逸らすつもりもないようだ。


その……初めて見る社長の様子に、言葉を失ってしまう。



「とりあえず、会えてよかった。……杏さんから話を聞いて以来、キミに興味があって。一度会ってみたいと思ってたけど、実際会うと中身も見た目通り……まだ若そうで、少しだけ安心したよ」



言いながら嘲笑の笑みを浮かべた社長に、今度こそ、陽があからさまに眉根を寄せたのがわかった。


だけどそれは、私も同じで。


どうして……どうして社長は、陽に対してそんな風に好戦的な目と言葉を向けるんですか?


陽は、私の弟なのに。

私の、大切な家族なのに。

どうして社長は、そんな風に陽を見下すようなことばかり――――

 
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