焦れ甘な恋が始まりました
 


突然タガが外れたように饒舌(じょうぜつ)になった陽は、向けられた敵意を真っ向から受け止めるとばかりに、刺しかない言葉を社長へと投げ返した。


昔から警戒心の強い陽は、自分の領域へと無遠慮に踏み込まれるのが嫌いで。


それが例え好意であっても、自分が認めた人間以外には、絶対に深くは踏み込ませない。


そんな陽だからこそ、社長に言われた言葉が余計に癪(しゃく)に障ったんだろう。


実際、良く知りもしない相手に、中身が若そうだ……なんて言われて、気分を良くする人なんていないと思うし。


だけど社長も社長だとしても、寄りにも寄って社長に対して、とんでもない口の聞き方を……



「社長だかなんだか知らないけど。そもそも、年下相手にムキになるとか、大人気ないにも程があると思いますけど」



……ああ、もう。

私、明日にはクビになっているかもしれない……


 
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