焦れ甘な恋が始まりました
“この子はまだ、高校生なんです”
そう言いかけた私の言葉を遮るように言葉を重ねた後、一度だけ、苦しそうに息を吐き出して。
今度は鋭い視線を陽へと向けた社長は、先程とは比べ物にならないくらいの敵意を剥き出しにして、陽へと言葉を投げていく。
「……そっちがその気なら、俺も一企業の顔ではなく、一人の男として言わせてもらう」
「……あ、あの?」
「キミのことを若いと言ったのには、きちんとした理由がある。……先日、彼女とゆっくり話をする機会があって、俺は彼女の胸の内を聞いたんだ」
「……え」
「彼女……随分、仕事のことでマイナス思考になっていたし、自分に自信が持てないのだと悩んでた」
「彼女……?」
「だけど彼女がそんな風に悩んでしまうのも、そばで支えるべきキミが、きちんと話を聞いて受け止めていないからだろ?」
「、」
「自分を信じて支えてくれる人間がそばにいたら、あんなにも自分に自信をなくすこともない。もし彼女に寄り添っていたのなら、そういう彼女の気持ちに、そばにいる人間なら気付けたはずだ」
「しゃ、社長……?」