焦れ甘な恋が始まりました
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「お味噌汁も良いけど、それは楽しみとして取っておく。だって今日は、メインがハンバーグだし」
―――帰り道。
夜遅くまでやっているスーパーに寄り、言われるがまま食材を買って帰った車内では、下條社長は終始ご機嫌なご様子だった。
そんな社長を前に、初めは戸惑いと混乱しかなかった私も段々と社長のペースに乗せられて。
いつの間にか考えることも馬鹿馬鹿らしくなってきて、気が付けば今の状況を楽しむまでになっていた。
どっさりと買った食材を頭の中で並べて、ハンバーグをメインにしたら他は何を作ろうかと考えてみると夢ばかりが広がる。
それにしても……
「……調味料、ホントに何もないんですか?」
大量の食材と一緒に買ったのは、お酒と一般的な調味料。
味噌から始まり砂糖に塩、醤油。お酢とケチャップにソースにマヨネーズ、ついでにコンソメ、味醂(みりん)、料理酒、鶏ガラスープの素。
「前に言ったろ?俺、家では一切料理とかしないから」
それにしても、砂糖と塩……オマケで醤油くらいは置いてあるのが、日本人としての常識じゃない?