焦れ甘な恋が始まりました
 


けれど、再び訪れた静けさとは裏腹に、私の胸に押し寄せる自制心の波。


本当に、このまま社長と抱きあってもいいの?

これは本当に、私が望んでいること?



「っ、」



そう悩んでいる内に、着ているワンピースの背中のファスナーに、手が掛けられたのがわかった。


一瞬、ヒヤリと背中を伝った指先。

交差する、熱い吐息。

細い糸のように繋がった、二人の理性。



「杏……ベッド、行こう」



熱に浮かされたように社長が言葉を呟いたと同時、堪え切れなかった涙の雫が頬を伝って零れ落ちた。


 
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