焦れ甘な恋が始まりました
「……でもその人、日下部さんと同い年なんですよね?失礼を承知で言いますけど、そんな少女漫画の主人公みたいなこと言う年ですか?」
「う、うん……まぁ、それはそうだけど……」
「そもそも、その相手の人って、日下部さんのお友達には手の届かないような凄い人なわけですよね?少女漫画風に言えば、まさに白馬に乗った王子様、みたいな」
「は、白馬に乗った王子様……」
「そんな人と、金曜日の夜に彼の家でお膳立てされたような状況になって、直前で拒否とか……私だったら考えられない」
言いながら、呆れたような溜め息を吐く小出ちゃんに恐る恐る「……どうして?」と聞いてみた。
すると、可哀想な人を見る目で私を見た小出ちゃんに、今度こそ盛大な溜め息を吐かれてしまう。
「私だったら……好きだから、たとえ身体だけでも繋がりたいと思いますもん。それが叶わぬ恋の相手なら、尚更です」
最後には留めとばかりにキッパリと言い切られ、今度こそ私は、自分のデスクに撃沈した。