焦れ甘な恋が始まりました
――――俺達は、誰かの夢みたいな幸せを実現するのが仕事なんだ。
あの夜の海で、そう言って笑った社長の言葉が現実になる。
それはまるで自分のことのように嬉しくて――――同時に、何故だか私が威張りたくなるくらい、誇らしくもあった。
「はぁ……それにしても、今日も、とんでもない見積書の量。オープンまでに見積書だけで、タワー作れるんじゃないかなぁ」
だけど、その正式発表がされてからというもの、会社は新施設のオープンに向けて日増しに忙しくなっていった。
新施設オープンは、正式発表から約5ヶ月後。
今の時点で見れば、約3ヶ月後だ。
だけど施設(ハコ)自体は既に有りものだし、中身を新しいコンセプトに変えるだけだから、期間としては妥当だろう。
それでも社内では慌ただしく社員たちが動き廻り、特に営業部と企画部は、仕事に追われる日々が続いていた。