焦れ甘な恋が始まりました
「あ、あの……すみません、私……」
「立石、キミは席を外してくれていいよ。それに日下部さん、怯えてるから、そんなに見つめないでやってくれる?」
「っ、」
「……失礼致しました。では、午後のK社の打ち合わせの頃にまた伺いますので、何かありましたら、お呼びください」
「うん。ありがとう」
けれど、そんな立石さんは社長の言葉を合図に私に軽く会釈をすると、静かに社長室を後にした。
パタン、と。再び扉が閉じたことで、私は社長と共に社長室に取り残される。
……これはやっぱり、立石さんの苦手な分野の接待関係の話?
「日下部さん」
「は、はい……っ」
「ははっ、そんなに緊張しなくてもいいよ?どうぞ、こちらへ」
「っ、」